第45回全国社会福祉教育セミナー開催にあたり

 本セミナーではこれまで、社会福祉系の教育機関における、拡大多様化する社会福祉ニーズに対応した人材育成のあり方、そのためのカリキュラムの編成のあり方、実習教育をはじめとする教育内容や教授法のあり方等についての検討の場として、また、1987(昭和62)年に社会福祉士と介護福祉士、1997(平成9)年に精神保健福祉士の各資格制度が発足して以降は、専門職養成教育の検討の場として、さまざまの議論が積み重ねられてきました。
現在、社会福祉系の教育機関をめぐる状況は、「危機的」と言ってよい状況を迎えているものと思われます。 「入口」を見てみると、高等教育機関への進学率は上昇し続け、大学等の新増設も相次いでいるものの、一方では18歳人口減少に伴う「全入時代」を迎えるとも言われている中、景気動向、一部事業者の不祥事等による社会福祉そのものへのイメージ低下の影響などから、社会福祉系教育機関への志願者、入学者減少は、深刻な実態となっており、定員の未充足、養成施設の閉鎖等も見受けられます。また「出口」についても、「きつい」「汚い」「危険」あるいは「きつい」「帰れない」「給料が安い」といういわゆる「3K職場」というイメージの拡大は、学生の現場へのインセンティブの低下という実態を招くと同時に、現場の人材不足やミスマッチも生み出しているのではないでしょうか。このような状況を踏まえれば、このセミナーでは、「福祉離れ」や「志願者減少」の原因が何なのか、初心に立ち返り検討すべきと考えられます。
また、この検討は、これまでこのセミナーは、どちらかと言えば「養成サイド」の教員の参加が中心でしたが、これからは、実習施設・機関との有機的な連携、職場でのキャリアパスなど、実践現場を巻き込んだ形としていく必要があると考えます。
是非、本セミナーには福祉系学校の教員はもとより、福祉現場の実践者や大学院生、学生の皆さまのご参加をお待ちしております。